退職勧奨と解雇の違いは?退職勧奨は会社都合退職になるの?

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退職勧奨は雇用側と労働者側の双方の合意による会社都合退職です。

解雇とは違い、あくまで退職を会社から勧められている状況です。

退職勧奨の場合、法的拘束力がないため必ず退職しなければいけない訳ではありません。

悪い大人が世の中いたもので、「退職勧奨での退職なのに社員側に退職届を出させて自己都合扱いにしようとしたりする」という話を聞いたりしたので、今日は、退職勧奨についてまとめたいと思います。

この記事をお読みの方は、自分や周りに退職勧奨の現実があって調べている方なのかな?と想像してます。

もしご本人だったらやっぱり辛いショックですよね。

辛い内容だからこそ、出来るだけ損のない形で物事が進んで欲しいなと思い筆を取っている次第です。

自己都合と会社都合で何が違うの?

双方の合意とはいえ、退職勧奨による退職はあくまでも「会社都合の退職」になります。

会社からの退職の勧めに応じて退職するよ、と。

では、そもそも、自己都合と会社都合で何が違うの?という点から。

転職、結婚、子育てなど、個人の理由で退職する場合は、全て自己都合退職になります。

自己都合と会社都合では、失業手当など金銭面での扱いが大きく異なります。

失業手当をもらうには失業認定が必要ですが、自己都合退職の場合は3ヶ月の給付制限があり、この給付制限の間は失業認定を受けることが出来ません。

また、失業手当の給付支給日数も会社都合退職の方が長期に渡ります。

一方で、退職勧奨は、事業主から退職をすすめられた、会社側の都合がまず大前提にあるので、会社都合退職になります。

自己都合退職会社都合退職
失業手当支給開始日7日の待機期間+3ヶ月後から7日の待機期間のみ
失業手当支給日数90日〜150日90日〜330日
給付制限3ヶ月なし
国民健康保険免除なし全額給付免除が可能(最長2年)

失業保険の申請から受給までの流れはこちらでまとめてます。

退職勧奨と解雇の違いは?

退職勧奨とは、会社から従業員への退職の勧めなので、解雇のような強制力はありません。

そもそも強制力がないので、極論を言えば、退職勧奨に「この内容じゃなきゃ退職勧奨してはいけない」と言ったような勧奨理由の制限がありません。

とはいえ、倫理的に理由もなしに退職勧奨することは一般的にはないはずなので、多くは経営不振や事業縮小などによる人員削減が主だと思います。

勧奨を通り越して、退職を強要してきたらそれは違法になります。

また、性別や年齢、個人の身体的特徴についてなど個人的理由での不合理な退職勧奨は、場合によってはセクシャルハラスメント、パワーハラスメントにあたり、退職強要に該当すると思われます。

繰り返しになってしまいますが、双方の合意が必要です。

なので、最後に交わす書類は合意書です。

退職勧奨解雇
行う場合の根拠とくになし就業規則による
成立の要件双方の合意会社から従業員への通告
実施の時期自由就業規則による
解雇予告(30日前)が必要か不要必要
無効となる場合合意の際に退職強要など不法行為があった場合客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合
退職の条件双方の合意により決定会社都合退職

離職票に基づき、ハローワークが離職事由コードを決めますが、解雇は特定受給資格者となり、退職勧奨は、特定理由離職者と扱われます。

対象コード
特定受給資格者11、12、21、22、31、32倒産・解雇などにより離職
特定理由離職者23、33、34雇止めなどによる離職

退職勧奨での面談での注意点は?

退職勧奨は、面談の機会があります。

通常、一回で終わることはなく、数回の面談が設けられます。

「元々会社辞めたかったからこの際丁度いいや」って方も中にはいるかもしれませんが、動揺はあると思うのでその場で決めず、一度持ち帰ることをオススメします。

また、どんなに記憶力が良くても、面談内容も気持ちのいいものでは無いので、より記憶は曖昧になります。

面談の内容は、記録を取ってしばらく残しておくことをオススメします。

なんなら、「記録を取ります」と一言面談の際に言うくらいがいいでしょう。

たとえば「女性だから」や「産休をとったから」、「育休を取るなら辞めて欲しい」などのパワハラ、マタハラのような発言は違法です。

どのような条件であれ、合意するか拒否するかは決定権は、従業員側にあります。

本人が拒否しているのに執拗に退職を求めたり、長時間に渡り身体を拘束する行為は「退職強要」になります。

一字一句は覚えていられないので、退職勧奨の面談では記録を取ることをオススメします。

退職強要になる場合

相手が拒否しているのにしつこく退職を求めることは退職強要となり、不法行為として損害賠償の対象となります。

また、相当な解雇事由がないのに退職勧奨を拒否したから従業員を解雇する、ということも基本的に出来ません。

また拒否した社員に対し、配置転換をするなども違法行為です。

以下のようなケースが、退職強要にあたります。

退職勧奨の期間、頻度が社会通念上の限度を超える場合

・退職勧奨をきわめて多数回、かつ長期にわたって執拗に行う
・退職勧奨に応じない意思を明確に示したにもかかわらず、勧奨を続ける

従業員の職場環境の悪化、あるいは人格権の侵害が行われる場合

・退職させる意図で、他の従業員の前でことさら叱責する
・退職させる意図で、業務に必要ない作業、あるいは過酷な作業に従事させる
・退職させる意図で、長時間部屋に押しとどめる
・退職させる意図で、無視する、仕事を回さないなどの嫌がらせを行う
・大声を出したり、強権的、権威的、命令的な言動で退職勧奨を行う

従業員に退職勧奨に応じる他の選択がないと迫られる場合

・退職届を提出しなければ懲戒解雇になるといって退職勧奨を行う
・大幅な減給を受け入れるか、退職するかの選択を迫る
・転勤の余地があるのに検討せず、事業所の閉鎖を理由として退職勧奨を行う

こんな時は、管轄の労基署や、専門の弁護士に相談しましょう。

会社側には弁護士が付いているので、個人で交渉するのは骨が折れます。

個人で下手なことを言うと足元とられて逆に恐喝で訴えられたりしちゃいます。

「どうしても譲れない条件を交渉したい」とお考えの場合は、戦略を知っているその道のプロに相談するのが一番です。

こちらは、退職勧奨でその違法性が認められた事案です。

日本航空事件|東京高裁 平成24年11月29日判決

日本航空会社の契約社員(客室乗務員)であった原告が、上司から受けた退職勧奨が不法行為にあたるとして当該上司および、会社に対して慰謝料500万円を求めました。

違法と判断されたポイントは、主に以下の2点です。

  1. 原告の成績が低迷し、それにより上司より退職勧奨を受けた際、自主退職はしない旨を伝えたところ、上司より「いつまでしがみつくつもりなのかなって」「辞めていただくのが筋です」「懲戒免職とかになったほうがいいんですか」などの表現を用いて退職を求めたこと
  2. 面談が長時間におよび、社会通念上相当と認められる範囲を逸脱していること

判決では原告の主張する500万円の慰謝料請求が全面的に認められたわけではなく、長時間の面談が行われた平成21年9月19日以降、被告が長時間面談や執拗な退職勧奨を行っていないことから、20万円が妥当とされました。

本判決においては上司だけでなく、違法な退職勧奨により使用者である会社も損害賠償を命じられています。

退職勧奨で違法性をうっすら感じた場合は、一人で悩まず専門家に相談するのが一番です。

ただ、仮に何かを争う場合は、正しい事実の記録が必要です。

人間の脳みそは自分を守る為に都合の良いように記憶を書き換えがちなので、争点を客観的に判断できるように事実の記録を取りましょう。

雇用関係終了の合意書にサインをして退職

通常の自己退職ではないので、就業規則で決められているフォーマットで退職届を出すことはありません。

その代わりに、合意書にサインをします。

記載する内容は、会社で異なりますが基本的には、以下のようなことが書かれています。

  1. 合意解約が成立する日(実際に退職する日付け)
  2. 退職に当たり支払う金額(賃金規定に基づく〇ヶ月分の気賃金を満額支払う など、相場は3~6ヶ月分)
  3. 2を支払う日付
  4. 他に支払いがないこと
  5. 合意書の内容や存在を一切公開・漏洩しない
  6. 合意成立した日付・双方の署名押印

話し合っていた金額と記載があっているか、支払日がいつなのか、一字一句確認してから合意書にサインをしてから、提出しましょう。

ただ、退職前に転職先が決まった、など個人的な理由で、自主都合を選ぶ際はその旨を会社側と相談すると良いと思います。

会社的には自己都合で退職届を出してもらった方が都合が良いでしょうから、従業員側が望めば応じてくれると思います。

最後に

この記事をお読みの方は、自分や周りに退職勧奨の現実があって調べている方なのかな?と想像してます。

もしご本人だったら辛いですよね。

まさか自分にそんなことが起こるなんて、と俄かには実感が湧かないかと思います。

でも、辛い内容だからこそ、出来るだけ損のない形で物事が進んで欲しいなと思い記事にまとめました。

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